2011-01-17

もうひとおし

僕はもっぱらJAZZの人であるけれど、
ヘビーメタルと演歌とストリート系を除けば、けっこう何でも聴いている。
友人の漫画家のところでお手伝いをするときは
家の棚から一掴みでCDを持参してかけるけれど、
ジャンルが見事にばらけているのを珍しがられたりする。
というかJAZZが聴きなれない人にとっては
難解とか退屈な音楽になってしまうのは、
社長をやっているときに事務所でJAZZを流していて、大不評だったので痛感しており
(工場でNACK5とか泥臭い局は平気で聴いてるのにJAZZはダメみたい)
自重しているのはある。
前述したように演歌を除けば日本の歌謡曲やPOPSは
ラジオなどでかかる限りは耳にしている。
ただロックと称して、旋律がベタベタの演歌・歌謡曲のそれだったりするのは
洋食のつもりが食べたらヌカ味噌臭いような感じで気持ち悪い。
最初からヌカ漬けですって言えばいいのに。
なんかそういう中途半端なアカヌケナイ、格好だけの曲とか、
印象的な旋律を単に反復するだけで展開しなかったり、
節回しがジャンルとして定型化したような保守的なのはダメかな。
高校のクラスメートで今はJAZZミュージシャン・コンポーザーの
松井秋彦とやりとりしたりすると、
音楽で食べていくのは本当に大変なことだと思い知る。
彼はアメリカの名門・バークリー音楽院在学中から色々な賞もとってきた人だけれど、
学芸会と化したタレント歌手のお遊戯と保守性が市場に支配的で
かつ利権と怠惰に満ちたシステムに閉塞した日本の音楽業界には、随分と胸を痛めている。
以前に聞いた音楽で純粋に生計を立てている人口は、たった数千に過ぎず、
まぁ余程、漫画やグラフィックな業界の方が門戸が広い。
それほど厳しい世界なんだと思う。
漫画や音楽は贅沢産業に見られることがある。
生活が厳しく、経済が低迷するときに、それはさほど必要ではない。
だから今の時代は厳しいのだと。
でもそうなのかな。
僕は苦しい時悲しい時や、とりとめのない作業をするとき鼻歌をよく唄う。
黒人音楽と呼ばれるものの多くが、奴隷時代のワークソング(労働歌)が起源になっている。
また物語も商業ベースとは関係なく、人の歴史とともに編まれ、
人の心に求められ今に到っている。
音楽やお話は苦しいときこそ多分必要なものなんだと思う。
長くいとおしまれ人生の伴侶たるものになりえるんだと思う。

僕の友人にもう一人、
音楽の世界で生きていこうとしている人がいる。
Sharh_SYO-ZYUさんだ。
http://www.myspace.com/syozyu
小説家で大学の学友である皆河有伽を通じて知り合った人だけれど、
歌にギターに日々練習を重ね、ライブを年に何本もこなして、
自分の音楽っていうものを正面からきちんと向かい合っている姿は
若いのに真摯だなぁと思って見てきた。
僕にとっての音楽は「音」を中心としたものなのだけれど、
80年代終わりからのミュージッククリップの存在もあって、
彼の音楽の表現にはビジュアルとしての要素が
並行して大きな位置を持っている。
僕は絵とかデザインの畑であるし、
彼のそうした活動の中で、ビジュアルのデザインに関して
お手伝いをする機会をえて以来、縁がある。
だけど、彼が真面目に取り組めば取り組むほど
もちろん自分の限界を知ったりするし、押し広げる努力も要る。
また、松井と同じように音楽業界の閉塞に
絶望しそうにもなって思い悩んでいたのも知っている。
その彼がこの1月19日水曜にデビューシングルを発売する。
とても嬉しく、応援したいと思っている。
タイトルは「Vampire Princess
(品番 : SSZP-0001/流通 : ダイキサウンド)
http://www.amazon.co.jp/dp/B004D2WWCK

(画像はラフなので良く見るとタイトルのつづりが間違っていたりするのはご愛嬌)
 
実は友人の環望のアニメ化にもなった漫画「ダンス・イン・ザ・ヴァンパイアバンド」の
公式(編集部も作者も公認)のトリビュートソングになっている。
価格は1575円。
マキシシングルCDなんだけど少しお高いのは、
トールサイズデジパック仕様で、中に20Pブックレット写真集が入っているから。
写真集は皆河有伽の発案らしいんだけれど、
音楽評論家の渋谷陽一がラジオで語ってた、
MP3のDL販売が隆盛のように語られる欧州の音楽市場で、
CDという物理パッケージをむこうのミュージシャンが
どう売ろうと努力しているのかという現状の方法論と
友人発案のそれがまったく同じ理念に基づいているのに思索の的確さを感じた。
日本はCDに付録かオマケ的な発想で
販促グッズや特典をつけているけれど、
欧州では写真集やブックレットによるメッセージで
自分の世界観を包括したパッケージとしての表現に踏み込み、
アイテムとしてのCDの存在と付加価値を増しているそうだ。
日本でもメジャーレーベルでそうしたアプローチに近いものはこれまでもあったけれど、
インディーズはとかくそうした発想と感性、作りこみのノウハウが不足しているから、
かなり画期的な1枚になると思う。
ちなみに衣装のデザインはイラストレーターの時代みつるさん。
彼のwebではデザイン画が公開されている。
パッケージのデザイン協力は僕。
表1と中の表2-3を担当した感じ。
撮影済みの素材の選別からイメージ画像の作成、
使用フォントの方向性などまでしてレイアウト、
CGを担当や、フィニッシュ作業のデザイナーさんへ渡した。


自分の原稿にかまけていて
なかなか周知に協力できなかったのだけれど、
発売まであと数日、もう一押しして、弾みと力をつけたいので、
もし気になった方がいらしたら、手にとってくださればありがたいです。
なんか、発売初日に買うなら
タワーレコードが集計的に有利だそうで、
お近くにあるなら、そこでお願いします。
そして遅まきながら、発売おめでとう。
どんな成功も意志を持った人がいて始まるものだから。


上掲の画像は僕が以前に作ったSarah_SYO-ZYUさんの宣伝用ビジュアル。
アール・ヌーヴォの雰囲気が欲しいとのことで
彼の写真やギター、ユリの花など全部僕が輪郭やタッチなど描いている。
フレームも僕の絵。
このビジュアルは今も彼のFacebookの背景に使用していただいている。

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